平成26年度税制改正で経済対策の柱として設けられた「生産性向上設備投資促進税制」は、28年度に制度を縮減し、29年度に廃止されます。
そこで、適用期限があと1年と迫る本制度を有効活用するため、ポイントを再確認してみますので、参考にして下さい。
【創設の趣旨】
同制度は、「民間投資等活性化のための与党税制改正大綱(平成25年10月)」で、次のように説明されています。
「企業の設備投資の水準は、長きに亘って減価償却費やキャッシュフローの範囲内に留まってきた。
このため、設備は老朽化・劣化し、生産性の伸び悩みの要因となっている。
こうした状況を打破するため、生産性の向上につながる設備、具体的には生産性の高い先端的な設備への投資や、生産ラインやオペレーションの改善のための設備への投資を対象に、即時償却又は税額控除ができる制度を創設する」。
このような政策的見地もあるので、是非、活用したいものです。
【制度の概要】
1 生産性向上につながる設備投資の税負担軽減
生産性を向上させる先端設備および生産ラインやオペレーションを改善する設備を取得等した場合、図表1のとおり、特別償却または税額控除(当期の法人税額の20%を上限)のどちらかを適用できる制度です。
この制度の対象設備は、先端設備と生産ラインやオペレーション改善設備で、それぞれの要件は次のとおりです。
(1) 「先端設備」・・・図表2の最新モデルの要件および取得規模の要件を満たし、旧モデルと比べて年平均1%以上生産性を向上させるもの。
(2) 「生産ラインやオペレーションの改善設備」・・・図表2の取得規模の要件を満たし、かつ設備投資計画案(税理士等の確認が必要)の投資利益率が5%以上(中小企業者等以外は15%以上)のもの。
2 中小企業投資促進税制
中小企業者等が機械などを購入した場合、取得価額の30%の特別償却または取得価額の7%の税額控除のどちらかを適用できるとともに、生産性向上に役立つ設備の導入について拡充措置が図られています(図表3)。
3 Q&A
設備の修繕等を行った場合も対象となりますか。
A
設備の修繕等は対象となりません。
ただし、建物にあっては、その修繕等が資本的支出に該当するものは対象となります。
本制度の対象となる生産等設備とは、どのような設備をいうのですか。
A
生産等設備とは、例えば、製造業を営む法人の工場、小売業を営む法人の店舗または自動車整備業を営む法人の作業場のように、その法人が行う生産・販売・役務提供活動その他収益を確保するために行う活動の用に直接供される減価償却資産で構成されるものです。
したがって、例えば、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は対象外です。
中古の機械等は対象となりますか。
A
対象とはなりません。
同一企業が、設備単位で即時償却と税額控除を使い分けることはできますか。
A
できます。
例えば、X機械は「即時償却」、Y機械は「税額控除」と、同じ資産分類内であっても、設備単位で使い分けができます。
先端設備について工業会等から発行される証明書は、設備を導入する前の日付で発行されたものでなければならないのですか。
A
設備導入後に発行されたものであっても、機械装置などの設備が最新モデルであること、生産性向上要件を満たしていることを証明するために利用できます。
生産ライン設備等について経済産業局に申請後、確認書の発行までは、どの程度の期間がかかりますか。
A
1か月を目途とされていますが、余裕をもって申請した方が安全です。